← ハーレーのハンドル交換① 選ぶ前に整理したい「基本の考え方」第1編へ
ハンドル交換で一番ややこしいのが、ケーブル・ホース・配線まわりです。プロのメカニックでも間違ったり、勘違いがあったりするところです。
一般のオーナー、サンデーメカニックさんなら「ハンドル決めた!さあ取り付けよう!!」と思って、いざ作業をはじめるとブレーキホースやスロットルケーブルがキツキツとかゆるゆる・・・となった経験をされた方もおられるでしょう。ゆるゆるなら取り回しを工夫すれば(ちょっと遠回りさせるとか)ですむんですけどね。
こういう事ってあとになってみれば楽しかった経験になるのですがその時はそんな余裕ないですよね。
そもそもハーレーのケーブル・ホース・配線まわりは年式やモデルによって仕様がちょこちょこと変わるので、せっかく入念に下調べして整理してもまた変わってしまっていたり、少し情報が古かったり、錯綜して混乱してしまいます。
なのでハンドル交換の前の準備に関する奥義を授けましょう!
といっても昔ながらの方法ですが、まず仮組みする → 現物合わせ→ ヒモで実測。これが現車のリアルな情報をリストアップするのが結局一番いいと思います。
いっけん遠回りで面倒に感じるかもしれませんが自分の頭の中で整理する時間ってなんだかんだ結構重要だったりします。
最近はハンドル交換ケーブル類のキット(ケーブル・ホース・配線まわりがセット)がリリースされているので、年式とモデルを選ぶだけでなんとかなる事もあります。
それでも「??っあれ??」っていうこともなきにしもあらずです。
第2編ではスロットル・クラッチ・ブレーキホース・スイッチ配線それぞれの確認ポイントと、ついでに中通し(配線をハンドル内に通す加工)についても深掘りしていきます。
スロットルの確認
スロットルは年式やモデルによって「ケーブル式」と「電子スロットル(TBW)」の2種類があります。まずは自分の車両がどちらかを把握しておきましょう。
ケーブル式スロットルの場合
ケーブル式のスロットルは、ハンドル右側のグリップとキャブレターまたはスロットルボディを実際の物理ケーブルで繋いでいます。アナログです。ケーブルで引っ張ったり戻したりする仕組みです。
なので交換予定のハンドルが高かったり、幅が広かったりすると、現状ついているケーブルでは長さが足りなくなるといったケースがよくあります。
そのまま引っ張って強引に取り付けてスロットルの戻りが悪くなるのでこれは絶対に避けなければなりません。
焦ってたりすると意外にやってしまがちなので気をつけましょう!
あとケーブル類の必要な長さ(ちょうど良さそうな長さ)を下調べする時はケーブルの取り回し経路もきちんと考えておきましょう。ひもなどで通してみてそれを測ってみるといいです。
デュアルケーブル車の注意点
EVOやツインカム時代のモデルはケーブルが2本(アイドルとスロットル)になっているデュアルケーブル仕様です。*注意 一部のモデルでは2008年頃から電子スロットルに切り替わっています。
アイドルとスロットルどちらもだいたい同じ長さですが、念の為2本ともそれぞれ取り回しをしてみて長さを確認しておくと良いでしょう。
電子スロットル(TBW)の場合
電子スロットルはケーブルがなく、グリップ内のセンサーとECMが電気信号でつながっている仕様です。デジタルです。おおよそ2008年以降のツーリングモデルから採用が進んでいます。
電子スロットルの場合はケーブルがない代わりに、グリップセンサーユニット(電気配線の長さ)の確認が必要になります。
余談ですがハンドル交換の際についでにグリップを変えたい場合、電子スロットル対応のグリップユニットを選ばないと取り付けがです。ヤフオクとかで「いいの見つけた!」と選んでも電子スロットル用でないととりつけできないので要注意です。
クラッチの確認
クラッチも年式やモデルによって「ケーブル式」と「油圧式」の2種類があります。
見分け方はシンプルで、クラッチレバーから直接ケーブルが伸びていればケーブル式、レバー部分のマスターシリンダーから油圧ホース(金属またはメッシュ)が伸びていれば油圧式です。
ケーブル式クラッチの場合
ケーブル式はスロットルと同様、ハンドルが高くなったり幅が広がったりするとその分だけケーブル長が足りなくなります。
ケーブルの長さと実際の取り回し経路をセットで確認しましょう。またケーブル式クラッチには調整代(アジャスター)がありますが、延長後もきちんと調整できる状態になっているかも確認しておきたいところです。
油圧式クラッチの場合
油圧式クラッチはホースとマスターシリンダーで構成されています。ハンドルを高くするとホースが足りなくなるといったことはブレーキホースと同じです。
油圧系統はブレーキと同様に安全に直結する部分なので、突っ張りや無理な取り回しがないのとエア抜きをしっかりと確認しましょう。
フロントブレーキホースの確認
フロントブレーキホースは安全に直結する部分なので、特に一番慎重に確認したいところです。
避けなければならない状態
以下のような状態は絶対NGです。
| ケース | リスク・危険 |
|---|---|
| ハンドルを高くしたときにホースが突っ張る | 各部に負荷がかかりブレーキフールドが漏れるなど |
| ハンドルを切ったときにホースがよじれる | 各部に負荷がかかりブレーキフールドが漏れるなど |
| ハンドルをいっぱいに切ってフルロックしたときホースを挟み込む | 各部に負荷がかかりブレーキフールドが漏れるなど |
| 低くしたりした時にホースが余ってふくらんでいる | 何かがホースに引っかかってしまいハンドルがロックしてしまう |
| フェアリングやフォークなど周辺部位にホースが擦れる | ホースにダメージをあたる、またはフェアリングなどに擦り傷などをつけてしまう |
これらは走行中に重大なトラブルにつながるリスクがあります。また大事なバイクを傷つけてしまう原因にもなります。
ブレーキホースを交換するときの確認ポイント
ハンドルをかなり高くする場合や、ライザーをかなり高くする場合はブレーキホースの交換が必要になるといったケースがほとんどです。
その際に確認しておきたいポイントはこんな感じです。
- – 長さ:ハンドルをフルロックした状態でも余裕がある長さかどうか
- – バンジョーの角度:マスターシリンダー側とキャリパー側それぞれの角度が合っているか
- – フィッティングの規格:バンジョーボルトのサイズや規格が合っているか
- – ABSの有無:ABS付きの車両はABS非対応のホースやフィッティングは使用できません
- – 取り回し経路:フォーク・フェアリング・フレームとの干渉がないか
ステンメッシュへの交換はこのタイミングが◎
ブレーキホースの交換が必要になるタイミングは、ステンメッシュブレーキホースへのアップグレードを検討するいいタイミングでもあります。
ステンメッシュはタッチが向上しますし、見た目もカッコよくなりスッキリします。どうせ交換するならこの機会にまとめてやってしまうのもよいと思います。
スイッチ配線と中通しの話
ハンドル周りにはウインカー・ライト・スターター・キルスイッチなどのスイッチ配線があります。
ハンドルを交換すると配線を延長する必要が出るといったケースがよくあります。特にかなりハンドルを高くする場合は延長ハーネスが必要になることがほとんどです。
配線の中通しとは??
配線の「中通し」とは、ハンドルバーの内側にスイッチなどの電気配線を通してしまう加工のことです。ハンドルバーはパイプなので中が空洞ですからね。
これを活用して内部にしまう事で外にケーブルが出ないのでスッキリとクリーンな見た目になります。クラブスタイルやカスタム色、こだわりの強いバイクで特によく見られます。
中通しをするかどうかでハンドル選びにも諸所みるところがありますので検討中の方はどっちにするか先に決めておきましょう。
中通し対応ハンドルかどうかの見分け方
すべてのハンドルが中通しに対応しているわけではないです。
見分け方は簡単で中通し対応のハンドルには配線を引き込む穴(ポート)が開いています。穴の位置はだいたいクランプ部分の内側中央付近に大きい穴が一箇所、両グリップの付け根部分に一箇所づつ、合計3つ開いているものが多いです。
商品説明に「配線穴あけあり」「中通し対応」などの記載があるかどうかを確認しましょう。記載がない場合は問い合わせするかメーカーの仕様を確認するのがよいと思います。
また1-1/4インチや1-1/2インチ径の太さのハンドルは太い分だけ内径が広いので配線を中通し作業がしやすいです。
反対にスタンダード径(1インチ)の場合は内径が細いので作業は苦労すると思います。通せる配線の本数や太さに制限が出ることもあります。特にツーリングモデルは線が多いですからね。なので配線中通しするときは太いハンドルをチョイスするのがいいです。
中通し穴のあいていないハンドルでも適時穴あけ加工作業をするとできます。ただステンレスのハンドルバーに3-4cmの穴を開けるにはしっかりとした工具と技術が必要です。
中通し作業のポイント・リスク
中通しは見た目がスッキリする反面、作業難易度は上がります。失敗しやすいポイントをあらかじめ把握しておきましょう。
昔は針金や石鹸、オイルなどを駆使して通していました。今も似たような状況だと思います。
配線がハンドルの中になかなかうまく入っていかず、あっちこっち、押したり引いたりしているといつの間にかハンドルが傷だらけということも結構あります。
場合によってはタンクやフェアリング、メーターゲージなどにぶつけてしまい相当悲しいことが起きてしまいます。
ハンドル中通し作業はできればショップさんにお願いする方がいいと思います。
ただぶっちゃけ中通し作業はショップさんにとってもつらい作業なので普段から仲良くしておくことをおすすめします。
曲がりのきついところで配線が通らない
ハンドルの曲がりがきつい部分で配線が引っかかって通らない・・・というのはよくあるトラブルです。無理に引っ張ると配線の被覆が傷つきますし、コネクターが損傷することもあります。
ただやるとしてもビニールテープなどで配線先端をまとめてから、細い針金(通し線)を先に通してから配線を引っ張るくらいしかないのですが・・。
ハンドル内部の角・バリ
ハンドルバーの内側に鋭いバリや角があると配線の被覆が傷つくことがあります。引き込む前にハンドル内部をチェックして、可能であればバリ取りをしておきましょう。
配線の本数と太さ
ツーリングモデルのようにスイッチがたくさんあるモデルは引き込む配線の本数が多いので当然難易度が上がります。私はやったことがないですが、まとめて一気に通そうとせず、1本ずつ通していくような辛抱強い方もいるみたいです。
コネクターの扱い
コネクターの位置関係によりケースバイケースかもですが、配線を通したあとにコネクターを取り付けるか、コネクターごと引き込むかによっても作業手順が変わります。ハンドルのポート(穴)のサイズとコネクターの大きさが通るかどうかも先に確認しておきましょう。
ショップさんにお願いする
中通しの作業自体はショップさんにお願いするほうが確実です。ただ一通り作業を理解しておくと発注時の打ち合わせがスムーズになります。
年式・モデルで変わる仕様の目安
ハーレーは年式やモデルで仕様がちょこちょこと変わります。厳密にはモデルコードや仕向け地によっても異なりますので、あくまでおよその目安として参考にしてください。
スロットルの切り替わり目安
| 年式の目安 | スロットルの仕様 |
|---|---|
| 〜2006年頃まで | キャブレター + ケーブル式スロットル |
| 2006,2007年頃〜 | インジェクション化が進む(モデルによって異なる)+ ケーブル式スロットル |
| 2008年以降 | インジェクション化が進む +ツーリングモデルから順次、電子スロットル(TBW)が採用 |
この表の頃のモデルは変わり目の時期でもあるので注意です。
スポーツスターはインジェクション化が2007年、ビッグツインはモデルにより2007〜2008年頃が切り替わりの目安です。ただし年式だけで判断せず、実車で確認するのがいちばん確実です。
クラッチの切り替わり目安
| 年式の目安 | クラッチの仕様 |
|---|---|
| 〜2016年頃 | ケーブル式クラッチが主流 |
| 2017年以降の一部モデル〜 | アニバーサリーや特別仕様など油圧クラッチの採用モデルが増えてくる |
| M8以降(2017〜) | 油圧クラッチの採用モデルがもう少し増えてくるが逆にケーブル式に戻るモデルもある |
こちらもモデルによって切り替わり年式が異なります。「自分のはどっち??」と思ったら、クラッチレバーからケーブルが出ているかホースが出ているかを実車で確認してみてください。
ABSの有無
ABSの有無はブレーキホースの交換に直接影響します。ABS付きの車両にABS非対応のホースやフィッティングを使用することはできないので、先に把握しておきましょう。
ハーレーのABS標準装備化はモデルによりますが、ツーリングモデルでは2008年頃から、その他のモデルでも2010年代以降に順次対応が進んでいます。オプション装着車もあるので、実車を確認するのがいちばん確実ですね。
まとめ
第2編ではケーブル・ホース・配線まわりの確認ポイントを深掘りしました。
– スロットルはケーブル式 / 電子スロットルで確認内容が変わる
– クラッチはケーブル式 / 油圧式で確認内容が変わる
– ブレーキホースは安全直結なので一番慎重に(ABS有無も忘れずに)
– スイッチ配線の延長が必要になるケースが多い
– 中通しはきれいに仕上がるが作業難易度が上がる、プロショップに依頼も検討
– 年式・モデルで仕様が変わる、実車確認がいちばん確実
第3編では干渉確認・取り付け後のチェックリスト・問い合わせ時の情報整理についてまとめていきます。
← ハーレーのハンドル交換① 選ぶ前に整理したい「基本の考え方」第1編へ
→ 第3編:干渉確認・取り付け後チェックと問い合わせガイドへ