先日紹介したバッサニ社もそうですがアメリカの自動車やオートバイのアフターパーツブランドは50年とか60年の歴史を持っている事が割と良くあります。
またアフターパーツを生産するメーカーの数も膨大で有名なブランドだけでも数百、小さなものを含めると数えきれないです。
一体なぜアメリカにはこんなにたくさんのメーカーがあるのでしょうか?
単に日本よりも人口が多いから?
でもそれだとせいぜい2倍強のはずですが実際にはケタ外れに多いです。
モーターサイクルショーやレース活動が全米各地で頻繁に行われているから?
確かにこのような催しを頻繁に行うことは一理あると思いますが、だからと言ってやみくもにイベントを開催しても閑古鳥がなけば意味ないですからね。
これほどまでにたくさんのアフターパーツがユーザーに求められ、たくさんのメーカーがそれぞれに採算がとれる理由とは考えにくいです。
やはりよく言われるようにアメリカのオートバイや自動車のカスタム文化の広さと根の深さがその理由のひとつでは?とおもいます。
もちろんこれだけが理由ではないと思いますが、カスタム文化の広さと根の深さを更に見つめてみるとアメリカ独特のメーカー側とユーザー側の関係性が見えてきます。
アメリカのカスタム文化とは
アメリカのカスタム文化って根っこにあるのはDIY(ドゥーイットユアセルフ)の延長です。
家や自動車、バイクを自分で修理やメンテナンスするのは普通の事でカスタムはそれにひと手間加えた感じだと思います。
そしてこんなことを続けてきたのでそれがカスタム文化になったんですね。
例えば単に屋根を修理するだけでなく、アイデアなどでひと工夫してみたりして元よりも見栄えや機能を良くしたりすることがカスタムですね。
なのでカスタム(CUSTOM)という英語単語を私が日本語役(意訳)すると「DIYのプラスアルファ」とか「創意改造」とか「創意工夫」とかそんな感じになると思います。
アメリカのメーカー側とユーザー側の関係性
ではカスタム文化の広さと根の深さをもう少し具体的に見てみます。
アメリカのアフターメーカーとユーザーが1番に重要視するのはデザインや性能、バリエーションの豊富さという事。
この共通点がしっかりと合致しているのがキーになると思います。
この趣向はアメリカ人が好む映画や習慣などを観察してみるとうっすらと見えてくると思います。
そしてウィークポイント(欠点)をあまり強く取り上げないところも共通点だと思います。
アメリカの社外メーカーのスタイル
- 俺がカッコいいの作ったよ!!
- めちゃめちゃパワーの上がる製品を作ったよ!
- 色違いやモデル違いのバリエーションも豊富にそろえたよ!
- 自作するのって大変だろ?これ使ってみれば?
- まあ、細かいことは勘弁してくれ!
- 気に入ったら買ってくれ!
- 価格もこれで納得してくれ!
アメリカのユーザーのスタイル
- 俺の感性にビビッとくるような製品を作ってくれ!
- 俺のバイクのイメージやカラーにマッチした製品を作ってくれ!
- 俺のバイクをもっと速くしてくれ!!
- 欲しいパーツが手に入らないので代替えで何かない?
- 自作するとメッチャ時間かかるので何かない?
- 細かいことは言わないから!
- いいと思ったら多少の価格は目をつぶるよ!
どちらも対等でかみ合っています。
日本の商習慣である「お客様は神様です」という感性はなく、どちらもお互いを「パートナー」くらいの感覚でとらえています。
で「細かいことは気にしない」という共通点も割と重要です。どちらもドライに割り切っています。おおらかというか国民性もあるのかな?と思います。
なのでメーカーとユーザーの間で持ちつ持たれつの関係が構築され、それが脈々と続いてきたのがアメリカのカスタム文化の広さと根の深さでは?と思います。
パーツを製作するメーカーとなんでも自分で解決するDIYが当たり前と感じているユーザーがうまくマッチして絶妙です。
この関係性があるからこそ膨大なハーレーカスタムパーツを生み出している1つの要因だと思います。
アメリカのメーカーはかっこいいものを作るためだけに全力を尽くしている?
アメリカのアフターメーカーはかっこいいデザインのものとかバイクの性能がアップするものを重要視して開発、リリースしていると思います。アメリカらしいですね。その他は2の次3の次って感じです。※もちろんどうでもよいと思っているわけではないです。
例えば毎年カッコいい新しいデザインのパーツを生み出すためにセンスのよいオリジナリティにあふれたデザイナーたちと試作をくりかえし、「誰も見たことない新しいものを作る」という課題を1番に挙げて楽しんでチャレンジしています。
またバリエーションを増やすためにモデル違いやカラー違いを豊富にラインナップすると、生産コストはグンとアップし販売価格もアップしてしまいます。
でもそこは自分たちがカッコいいと思う製品を作れば、きっとユーザーもカッコいいと感じて使ってくれるはずだと信じてリリースします。
もしユーザーに受け入れられなければすべて売れ残りで大赤字です。
ただ単に楽しんで製作しているのではなくてリスクも背負っていることになります。
なのでメーカーはいかにかっこいいものを作るかというところに全力を尽くしているといっても過言ではありません。
結果的にユーザーは毎年毎年リリースされる斬新でクリエイティブなカスタムパーツを見て益々虜になって楽しむことができ、飽きることもなく、DIYプラスアルファ(CUSTOMカスタム)のイマジネーションが刺激され、たくさんの選択肢の中から気に入った部品を購入します。
そしてそれを見た新しいアイデアや斬新なデザインを持った新参メーカーが次々とチャレンジしに参入してきます。
このサイクルがアメリカのカスタムパーツメーカーやパーツの豊富さの背景だと思います。
なぜ日本にはカスタムパーツメーカーが少ないのか?
日本には世界に名だたるオートバイメーカーが4社もあります。
日本の工業製品の技術力は世界的にも高く、アメリカよりも優れている部分もたくさんあります。
それなのになぜカスタムパーツメーカーは案外少なく、デザインがイマイチだったりバリエーションも少ないのでしょうか?
これは日本とアメリカではパーツを製作するメーカーとユーザーの関係性、重要視する価値観が違うからだと思います。
アメリカはかっこいいものが一番、日本は100%満足できる完璧なものが一番だからです。
私たち日本人はものを作るときにどんな人たちにも100%満足してもらえる欠点のない”完璧”なものを提供することを重要視します。
単に「カッコいいものを作りました!」では自分もお客様も満足しないという信念、プライドもあるでしょう。
そしてユーザー側もメーカーがリリースした製品は100%満足できる不備などのない完璧なモノという事を重要視している。
100%満足できる”完璧”なものモノがメーカーとユーザーの共通点です。
このため日本のアフターメーカーがバイクのカスタムパーツを開発、リリースしようとした場合、”完璧”という名のハードルで大変苦労します。
耐久性、価格、安全性、フィット性、操作性、機能性、作業性、精密性、高品質、法律問題などをさまざまな完璧を1つの製品を製作するにあたり盛り込まなくてはならないからです。
ここがアメリカとは大きく違うところですね。
日本ではごく一部のアフターメーカーだけが、この多岐にわたる”完璧”という名のハードルをすべてクリアすることができます。
なのでカスタムパーツをリリースしている日本のメーカーは本当に貴重で素晴らしいところばかりです。
ただし全部クリアしつつ、さらに採算もちゃんと取れるパーツだけが実際にリリースされる事になるので車種やバリエーションが少ないのはしかたないですね。
日本のユーザーは多少バリエーションが少くても100%満足できるパーツを手に入れることで納得します。
これが日本型の関係性だと思います。
日本型は新製品をバンバンリリースしたり、新規参入しにくいハードルがいくつもあるので結果的にカスタムパーツメーカーは少ないままになってしまいます。
日本のカスタムパーツとアメリカのカスタムパーツをうまく使い分けよう!
アメリカにはたくさんのメーカーから膨大なカスタムパーツがリリースされています。
一方で日本のメーカーがリリースするような完璧なカスタムパーツは少ないです。
日本のハーレーオーナーも修理やカスタムでパーツを探したり、時には選ぶのに迷ったりすることもあると思います。
私たちは日本で生活している日本人なので一番安心できる日本のカスタムパーツを選ぶのが本来は理想です。期待外れな結果は少ないと思います。
でもそれでは刺激が少なかったり、そもそも気に入ったものが無かったりします。
そこで役に立つのがアメリカで市販されているカスタムパーツです。
幸いにもネット通販や国際物流が整ってきたので早ければ1-2週間で手元に届く時代です。
たくさんの中から選ぶ事が出来るのでアメリカのカタログなどはチェックしておいた方が良いのは間違いないです。
ただしどんなパーツを使用するのかを判断するのはユーザー(お客さん)がすることです。
場合によっては種類が少なくても日本のパーツを選択するのが良いケースも多々あると思います。
選ぶ基準はいろいろあります。自分が好きなもの、スタイルや方向性が近いもの、信頼できるショップさんやメカニック、友人の意見などなど。
ただ最後に決断するのはやっぱりユーザー(お客さん)です。
自信をもってハーレーライフをエンジョイしましょう!